ルークです
ふんわりやわらかくて、しゅわっと溶けるような食感が他にはないお菓子・・・
そう、シフォンケーキ。
シフォンケーキといえば、生地に必ずバターではなく「サラダ油」や「太白ごま油」など、液体の油を使うことが特徴的ですよね
シフォンケーキってジェノワーズやビスキュイなんかのスポンジ生地に似てるけど、そいつらに使うのはバターですよね・・・
なぜシフォンケーキだけ、バターじゃなくてサラダ油なの?って思いませんか?
今回はそんな疑問を解決!!
「シフォンケーキと油脂の関係について〜ハリーおじさまの偉業〜」でお送り致します
いやハリーおじさまって誰やねん!!!!って思った方!!下読めばわかるよ!!
シフォンケーキとは。発祥、名前の由来
シフォンケーキになぜサラダ油を使うのか、その理由には「シフォンケーキの発祥」がふかぁぁあく関わってきます
シフォンケーキが世界で一番最初に作られたのは1927年、アメリカ・ロサンゼルスです
考案者もはっきりと分かっていて、それはハリー・ベッカーという人物!
(今頭の中にハリー・○ッターが浮かんだ人は自分だけじゃないはず)
ハリーさんは64歳の男性で、別にパティシエだったわけでもない、一介の保険外交員のおじさまでした。以下ハリーおじさまと呼ばせていただく
ハリーおじさまはプロの料理人でもなんでもないけれども料理がとても好きな方で、その過程でいろいろとケーキも研究していたところ、シフォンケーキという新しいケーキを考案したのです
卵白のみを使って作る「エンゼルケーキ」というお菓子からアイデアを得て作られたというシフォンケーキは、絹(シフォン)のようにきめ細かくやわらかいケーキ、という意味で名付けられました
ちなみにシフォンケーキ特有のあの型も、もともとはエンゼルケーキに使っていた型だったそうです
一般人のハリーおじさまが考えたシフォンケーキですが、その美味しさはあっという間に広まり、なんと芸能人のパーティーや有名なレストランからも依頼が来るほどだったそう・・・!
当然、「材料はなんなのか?」「どうやって作っているのか?」という質問も沢山されます
しかし・・・!
ハリーおじさまは断固としてシフォンケーキのレシピを公開しなかったため、なんと20年もの間、考案者本人しかレシピが分からない状態だったそうです
64歳で考案して20年だから、84歳まで・・・?恐るべし信念の強さ。見習いたいまである
そんなわけで極秘になっていたシフォンケーキですが、レシピがついに公開されるときがきます・・・
それは1947年のこと。ハリーおじさまはさすがに「そろそろ教えてやってもいいかァ」と思ったらしく、ついにアメリカの大手製粉会社、ジェネラルミルズ社が主催するラジオ番組で、秘密のレシピを公表したんだそう。焦らしプレイにもほどがある
ずっと人々が不思議に思っていて、20年もの間誰にも解くことができなかったのは、シフォンケーキのあの独特のやわらかくてふんわりとした食感・・・
その秘密こそがそう、
「サラダ油を使用すること」だったんです!!!!
以外とシンプルな答えだけど誰も考えつかなかったということは、それほど「ケーキにサラダ油を使う」って、当時は考えられないことだったんだと思われます
ついに謎が解けたシフォンケーキはレシピがどんどん広まって、手軽に作れる身近なお菓子として1940年代後半~1950年代にはアメリカ中でブームになるほど、有名なスイーツになりました◎
現在は日本でも、かなりポピュラーなケーキと言えますよね
ハリーおじさまがいなかったら、シフォンケーキは誕生しなかったかもしれないってさぁ・・・すごくない?
シフォンケーキにバターではなくサラダ油や太白ごま油を使う理由
シフォンケーキにサラダ油を使う理由はずばり、
「生地をやわらかくし、膨らみやすくするため」!!
最近では健康を意識して、太白ごま油を使う方も多いですね
なぜサラダ油や太白ごま油などの油を使うと生地がやわらかく、より膨らみやすくなるかというと、それにはグルテンと油の融点が深く関わってきます
なんか難しそう・・・な感じだけど、そうでもないです。1つずつ説明していきますね!
サラダ油・太白ごま油などの液体油脂はグルテンを繋げる働きがある
小麦粉に水分を加えて練ると、グルテンというあるたんぱく質が作られ、このグルテンが多く出すぎてしまうと生地に粘りが出て生地が硬くなってしまいます
お菓子作りにおいて「小麦粉を加えたらさっくりと混ぜる」が基本となっているのは、そのためです
詳しくはこちらの記事に書いてます!
「グルテンを出しすぎるとどうなるのか」という実験もやってみましたw
実は液体の油脂には、このグルテンと他の成分とをなめらかに繋いでくれたり、グルテン同士の無理な結合を抑えてくれる働があるんです!
そのため、生地が硬くならず、ふんわりとよく膨らんだ焼き上がりになるんですねぇ
常温で液体のサラダ油は生地のやわらかさと膨らみを助ける
バターは融点が30度前後と高いため常温だと固体の油脂ですが、それに対してサラダ油や太白ごま油なんかは、常温でも液体の油脂。
シフォンケーキを作るときって、卵を常温に戻したり温めて使うことってあんまりしないですよね?
そう、普通にシフォンケーキを作ったら、生地の温度が30度以上になることはまずない・・・
つまり、バターを溶かして加えても生地の温度が低いとだんだんとバターが固体に戻ろうとして重くなる→生地が重くなると気泡も潰れやすくなり、膨らみも弱くなる・・・というわけです。焼きあがった生地も、バターを使ったほうが少し硬めの食感になります
バターでもシフォンケーキは作れるのか?
シフォンケーキにサラダ油を使う理由が分かりましたが、
決して「バターじゃ作れない」というわけではないです!
バターを使ったシフォンケーキは上で書いた通り高さとふわふわ感は少なくなるけど、その分バターの風味が感じられる仕上がりになります
「バターでも、できるだけふわふわに作りたい!!」という場合。
ポイントは生地の温度を30度以上にすること!
上で書いた通り、生地の温度がバターの融点より低くなってしまうと気泡が潰れやすくなるので、卵をあらかじめ少し温めたり、溶かしバターを少し熱めにすると○!
この記事を書くにあたって面白いシフォンケーキの研究レポートを見つけたんですが、そこでも「バター添加生地を30°Cで操作したものはサラダ油を用いた基準のものには及ばないものの、室温でバター操作のものより柔らかい」と書かれています
難しい表現が多めだけどじっくり読むとかなり面白い研究レポートなので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいw
まとめ
ケーキにサラダ油を使うのって今でこそいろいろあるけど、シフォンケーキがきっかけだったのかもしれないですね
しかも考えた人が普通の60代の料理好きなおじさまっていうのがエモい
いろいろ試作を重ねてできあがったんだろうなぁ・・・
常にアイデアを考えてやってみるって大事ですね!(小並感)
それではまたっ